2024年1月1日16時10分、マグニチュード7.6・最大震度7の巨大地震が石川県能登半島に発生した。説明に及ばず被害は甚大であり、1カ月経った今もなお復旧の手が入れられない程の地域もあるとのことである。私たち大谷派寺院も、能登教区だけをみても353ヵ寺中、被害なしと報告があるのはわずか16ヵ寺と未曾有の惨事であり、周辺教区を含めると実に820ヵ寺に迫る寺院が今回の地震の被害(2/2現在)を受けている。
阪神・淡路大震災、東日本大震災、熊本地震などの巨大地震をはじめとした自然災害は、都度私たちに突然の悲しさと虚しさ・人間の技術の限界を知らせてくる。
皆さんは珠洲原発計画という言葉をご存知だろうか。1975年に持ち上がったこの計画は、住民の反対運動と、それを切り崩す電力会社側との28年に及ぶ「闘争」の末、2003年12月に凍結された。その住民の反対運動の中心には、「南無阿弥陀仏」を書いた筵旗(むしろばた)を掲げ、お念仏の声と共に約40日間市役所の前に座り込み、抗議を行った真宗門徒の姿があったという。万が一国が原発建設を強行していた場合、今以上に悲惨な事態に陥ることは火を見るより明らかである。先人の声が、今を生きる私たちを救ったといっても過言ではない。
災害から私たちは何を学ばなければならないのか、お念仏の声を相続していくのは言うまでもなく私であり、あなたである。しかし同時に、その技術を享受していることもまた事実。必要なことはまずは歴史の事実や原発の仕組みを知ることから始まるように思う。
私の祖父母の寺院は輪島である。小さい頃はご門徒の方々に沢山お世話になった。お念仏の土壌は無くならないと信じている。そんな能登の復興を切に願う。
『Network9(2024年3月号)より引用』寺本 智真(東京教区駐在教導)
「真宗大谷派東本願寺よりお知らせ」
・真宗大谷派東本願寺令和6年能登半島地震についてのお知らせは、東本願寺HPで更新しています。