茨城県つくば市「明超寺」ご住職:大内 富久さん取材
お正月といえば「お餅」。各ご家庭では、鏡餅などをお飾りされている方も多いのではないかと思います。その際に餅つきをされるご家族はどのくらいおられるのでしょうか。実は、お寺でも本堂のお飾り(荘厳)にお餅を使っていることに皆さん気が付いていましたか?
お寺も様々な理由から餅つきを辞め、作り物のお餅を飾るところも増えていますが、作り物に代わる前は、寺族・門徒が一緒に作られていたことはご存知でしたか?
今号では、本堂のお飾りに使われるお餅(お華束と鏡餅)。その中で「お華束」について特集させていただきます。この「お華束」を昔と変わらずに寺族・門徒が一緒に作られている風景を茨城1組の明超寺(茨城県つくば市)で取材させていただきました。また、昔ながらを残しながら、新しい工夫を加えられた作製方法など、今も餅つきをされている方、また再開を考えている方、これから始める方の参考にしていただければ幸いです。
お華束とは尊前にお供えするお餅です。平時はお華束をお飾りする必要はありませんが、お盆やお彼岸、各種法要のときに杉盛という形のお華束がお飾りされます。特に報恩講のときは須弥盛というお華束がお飾りされます。
杉盛は白餅を杉型に盛ったものです(図1を参照)。須弥盛は白餅に紅、藍などの色をつけ、ミカンなどとともに形作られた華やかなお華束です(図2を参照)。


(図1 杉盛の例) (図2 須弥盛の例)
昔は報恩講の寒い季節に、今のようにお花を揃えるのが難しかったようです。そのようなときでも、お華束のお陰で報恩講の際も本堂の荘厳を色鮮やかなものにすることができました。
真宗大谷派東本願寺の報恩講では、とても大きな須弥盛がお飾りされています。これらは毎年、ご門徒が愛知県のお寺で作り、本山に運び込まれています。
これと同様に、報恩講にお華束をお飾りするために、ご門徒が集まりお華束作りをされているお寺もまだあります。コロナウイルス感染症を機にお華束作りを断念されたお寺もありますが、脈々と続けられてきた真宗寺院の特色でもあります。

(2023年真宗大谷派東本願寺の報恩講でお飾りされた須弥盛)




