「見捨てられていない」という感触は、人間に力を与える。
もう一歩前へ踏み出してみよう・・・。ここもうひと踏ん張りしてみよう・・・。
そんなふうに励まされる力は「利益(りやく)」である。
「相手を選ばない」ということ以上に頼もしいことはない。
煩悩具足の私でも、仏様の眼の中に映ることができるという安心感につながる。
そんなふうに感じられる力も「利益」である。
なむあみだぶつ・・・なむあみだぶつ・・・。
そう声に出すことは仏様の励ましと眼差しと願いに応えることになる。
声に出して応えることで、仏様の利益に遇うことができるとは、誠に不思議なことである。その不思議さは分別と理論でまかなえない。分別と理論でまかなえない所に本当の「信」が生まれるのではないだろうか。
五島 満(ごしま みつる 東京都世田谷区 浄行寺住職)