現在の雲國寺がある辺りは、昔、関宿藩の領地であった。天明の大飢饉の影響によって衰退した当藩は、飛び地である奥原村、久野村、月出里村、桂村に、北陸の加賀藩から多くの農民をよび、農村人口の増加策をとられた。しかし、親鸞聖人のお念仏の教えに喜ばれ、生きてこられた人々にとってこの地は、心の拠り所となる場がなく苦しかった。 　そこで、門徒一同、藩主である久世広周に真宗寺院の建立を願いでた。それをうけ、当藩にある雲國寺を分寺し、創建にいたった。そして、分寺にあたり雲國寺からこられた僧侶が、大乗である。 開基である大乗は、現在の古河市水海にある正蔵寺二十六代目西樹の弟にあたる。大乗は教えを説く一方で、住民と新田作りに励み、苦楽を共にしながら生活し、布教してこられた。また、ときには藩に陳情書を願い上げするなど、住民の支柱的な存在であったと伝承されている。