一般的に使われる「お仏壇」という言葉。亡き方やご先祖をお祀りし、手を合わせる場所として、昔から大切にされてきました。一般的には「お仏壇」と言われるものですが、浄土真宗では「お内仏」と呼んできました。そこには「お内仏」という言葉に込められる願いがあります。ここでは「お仏壇」を「お内仏」と呼んできた歴史や浄土真宗が大切にしてきたこと、そして、「お内仏」のお荘厳(正しいおかざりのかたち)に触れていきます。
「お仏壇」と「お内仏」の違いは?
真宗門徒は「お仏壇」に御本尊を安置して「お内仏」と呼びます。先祖を祀る先祖壇や位牌壇としての「仏壇」ではなく、家庭内にご本尊を安置してお参りする場として「お内仏」と別の名で呼んで大事にしてきたのです。つまり、ご先祖様をなど「人」を中心としたものではなく、ご本尊である阿弥陀如来(=教え)を中心としたものを「お内仏」といえるのではないでしょうか。「お内仏」の中心はご本尊・阿弥陀仏(如来)の絵像や木像です。真宗門徒は南無阿弥陀仏と念仏を称えることをとおして、本願(阿弥陀仏の私たちを救う願い)にふれる生活をしてきました。亡き方の法名軸もご本尊に向く形でおかざりをされますが、これも本願に触れる生活をされた先達としておかざりをされています。ちなみに、他の宗派でも「お内仏」といわれる場合がありますが、意味は「お仏壇」として表現されることが多いです。
「お内仏」の歴史は?
実は、浄土真宗では、他の宗派よりも先んじて、家庭や地域コミュニティに「お内仏」がありました。「お内仏」の歴史は蓮如上人(レンニョショウニン)の時代から始まったといわれ、今から500年以上も前と伝わっています。当時は今のような綺麗なご本尊や木製の箱を指すのではなく、「南無阿弥陀仏」と書いた紙をお掛けしただけのものや、阿弥陀如来を彫った木を安置したものなど、様々な形があったといわれています。どのような形であったとしても、阿弥陀如来の願いを聞き、教えの言葉を中心としながら、生活が営まれた人々の姿があったと思われます。そのような歴史が積み重ねられ、現代まで受け継がれてきたものが「お内仏」です。
「お内仏」のお荘厳はどのようにかざるの?
「お内仏」はご本尊を中心とした、教えの言葉を表現したおかざりになっています。おかざりされている仏具には、ひとつずつに意味があり、その意味をいただきながら、日々のお参りをされることが望まれます。正しいおかざりの仕方は、下記にてお伝えいたします。
より詳しく知りたい方は、『お内仏の荘厳と作法』(東本願寺出版)をご覧ください。
最近は、ライフスタイルの変化により、昔ながらの「お内仏」もあれば、シンプルで省スペースに適したものやご自身の家族構成にちなんだものなど、様々なタイプの「お内仏」があります。真宗大谷派でも、「三折御本尊」や「額装御本尊」など、シンプルながら伝統に則った「お内仏」をご案内しております。ご不明な点やご相談がありましたら、教務所までお申し付けください。