私は現在、主任補佐保育士として、後輩の指導も担うなどやりがいを持って仕事をしております。でも、入職した十年以上前は、子どもたちを何事もなく保護者様へお渡しするだけで精一杯の日々でした。それでもめげずに徐々に学びと経験を積み重ねていた数年前のある年、真宗保育に触れるきっかけがありました。それは、4歳児クラス担任時のA君との出来事です。
他児から少し離れた所で友達が活動をする様子をじっと見ているばかりで、友達と一緒に活動をすることが苦手な子でした。行事発表で、母親が他の子と同じ振付での参加を望んでおり、意見を尊重し様々な方法を試みるも他の園児と同じ動きができません。
悩んでいた時に園長先生から、「友達と同じことができなくてもいいの。どのような姿であってもそれが今のA君の本当の姿。その姿を受け入れてあげることが大切なのよ。」との助言を受けたのです。
その瞬間、今までの考え方や関わり方が自分本位で、A君の気持ちに何一つ寄り添えていなかったのではとハッとさせられました。そして行事当日、A君はステージの端ではありましたが、友達と一緒に発表に出ることができました。母親の感動している姿と共に、A君の達成感に溢れたとても嬉しそうな表情が私の心に響き、又、それを機に母親との信頼関係が更に深まったように感じました。
今では子どものありのままの姿を受け入れ尊重することの大切さを職員に伝える側となりました。ただ、月日が経つと、つい保育者の思いを一方的に伝えそうになります。そんな時は、親鸞聖人の教えにもある、「一人ひとり違う個性をあるがままに受け止め、共に生き共に育つ」の真宗保育に触れられた、A君の姿を思い出すのです。
『Network9(2025年2月号)より引用』
主任補佐 佐藤 仁美(社会福祉法人聖徳福祉会 小木津聖徳保育園)







